A1.4 フォント

tkinter ウィジェットの「font」オプションでフォントを指定する方法は 3 通りあります。一つはフォントの情報を格納したタプルデータで指定する方法で、二つ目は tkinter.font.Font クラスのフォントオブジェクトを作成して指定する方法で、三つ目は tkinter に定義してあるビルトインフォントを用いる方法です。

1. タプルデータでの指定

フォントを指定するタプルデータは「(フォントファミリの名前、サイズ、スタイル)」の順に指定します。

　・フォントファミリの名前

フォントファミリはフォントの字体で、使用できる字体は OS にインストールされているフォントに依存します。使用するフォントの字体はフォントファミリの名前で識別します。筆者の Windows 10 の環境では 379 個のファミリの名前を使用することができます。参考として本ページの最後にファミリ名とそのフォント表示を示します。ここで、フォント表示はこのページを表示するブラウザに依存します。

フォントファミリの名前は省略することができません。空文字「''」を指定するとデフォルトのフォントが設定されます。デフォルトでは筆者の環境で、斜体文字でないとき「ＭＳ Ｐゴシック」、斜体文字のとき「Arial」が設定されています。

　・サイズ

フォントのサイズは整数値または整数文字で指定します。正の値で指定すると、値はポイント単位になります。負の値の指定はピクセル単位になります。「0」を指定するとデフォルトのフォントサイズになります。デフォルトでは筆者の環境で、「12」ポイントです。

続くスタイルを指定しない場合、サイズは省略することができます。この場合、サイズはデフォルト値になります。スタイルを指定する場合、サイズは省略することができません。

　・スタイル

スタイルはフォントの修飾を指定します。修飾にはフォントの太字、斜体、下線、取り消し線を指定することができます。太字は「bold」、斜体は「italic」、下線は「underline」、取り消し線は「overstrike」の文字列で指定します。一つ以上の修飾を指定する場合は、半角空白で区切った文字列、または、それぞれの文字列をカンマで区切って指定します。このとき指定する修飾の順序は任意です。空文字を指定するとフォントを修飾されません。

フォントを修飾しない場合、スタイルを省略することができます。

　・例

　　('ＭＳ Ｐゴシック', '16')：16ポイントの「ＭＳ Ｐゴシック」フォント
　　('Century', '24', 'bold italic')：24ポイントの「Century」太字斜体フォント
　　('ＭＳ 明朝', '16', 'bold', 'underline')：16ポイントの「ＭＳ 明朝」太字下線フォント
　　('Century', -20, 'bold')：20ピクセルの「Century」太字フォント

2. フォントオブジェクトでの指定

ウィジェットのフォントはフォントオブジェクトまたはフォントの名前を指定することで設定できます。名前付きのフォントオブジェクトは下記に示す tkinter.font.Font クラスから作成します。フォントの名前は インスタンス変数「name」からか、str 関数を用いて「str(オブジェクト)」で取得できます。

　tkinter.font モジュールには次の関数が定義されています。

　・例

　次のコードは名前付きフォントオブジェクトを作成しています。フォントの名前を「myfont」、フォントファミリを「ＭＳ Ｐゴシック」、フォントサイズを「30」ポイントにして太字、斜体、取り消し線を設定しています。

3. ビルトインフォントでの指定

tkinter にはシステムが使用する幾つかのビルトインフォントが定義されています。このフォントの名前を指定することで設定できます。ビルトインフォントはフォントファミリの名前とサイズが設定されていて、フォントの修飾（スタイル）は設定されていません。また、ビルトインフォントはシステム定義なので、OSによってフォントファミリが異なる場合があります。以下に Windows 10 で定義されているビルトインフォントを示します。

4. フォントファミリ一覧

Windows 10 で定義されているフォントファミリを以下に示します。